_講演資料: PMカンファレンス2019

講演資料: PMカンファレンス2019

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2019/11/12

概要
新しい便利なサービスを世の中に広めるためには、(1)サービスを思いつく (2)プロトタイプを作って感触を確かめる (3)周囲を巻き込んで利用してもらう (4)高品質な実装を行なって公開する (5)ユーザの声を聞きながら継続的に改善を続ける という長いステップが必要である。Nota Inc.で展開中のGyazo, Scrapbox, Helpfeelはいずれも10年以上にわたって(1)〜(5)を継続している。講演者はもっぱら(1)〜(3)を担当しているが、(4)〜(5)のプロダクトマネジメントまでの連続的な流れについて、Notaでの実例を紹介する。

発明・ドッグフーディング・プロダクトマネジメント
増井俊之
Nota Inc.
慶應義塾大学

自己紹介
シャープ、ソニー、産総研などに勤務
ケータイの予測変換(POBox)などを開発
2008秋まで米国Appleに勤務
フリック入力システムなどを開発
2009より慶應義塾大学
ユーザインタフェースの研究開発
IoT, 検索システム, 情報視覚化
各種Webサービス運用中
Gyazo, Scrapbox, Helpfeel, 本棚.org, ...

PMとは
from「ソフトウェアファースト」 (及川)
増井俊之発想 + プロトタイピング + ドッグフーディング 担当

POBox
予測インタフェース+検索インタフェース+デザイン

「フリック」入力

増井俊之 のメソッド
自分が使いたいモノを作る
コロンブスの卵が好き
簡単で有益なもの
誰もが使えるものはプロダクト化
プロダクトになるものは奇跡?

プロダクトイン
自分が使う便利なもので世の中にもウケるものをプロダクトにしている
ユーザ調査をもとにしていない

実績
成功
POBox
フリック入力
まぁ成功
Gyazo
これから
Scrapbox
もっとこれから
Helpfeel
EpisoPass
その他多数

コロンブス日和

光文社 2015/2

煽り

Gyazo
画像キャプチャサービス

Gyazo (2010/7)

Gyazo (2012/1)

Gyazo (2014/1)

Gyazo (2015/1)

Scrapbox
便利なWiki
400万ページ

Scrapboxの特徴
WYSIWYGなWiki
複数ユーザ同時編集
Gyazo画像の活用
ページ代表画像の利用
ページとタグの区別が無い
階層構造なし
双方向リンク
アウトライン編集
コード記法, コードブロック記法
柔軟で簡単なScrapbox記法
強力な文字装飾記法

Helpfeel
必ず答が出るヘルプ
あらゆる表現を生成してから曖昧検索する

Helpfeel実例
/SFCHelp

日々のドッグフーディングによる問題の発見と解決
WEB+DB PRESS Vol.102

問題の発見と解決
慶應SFCの精神

慶應SFC
湘南藤沢キャンパス

良い問題の発見と良い解決
使えないモノを発明しても仕方がない
市場に出てはじめて評価される
PMはその後であるが、そこが重要
発明なのか わからないこともある

ユーザインタフェース研究
論文の数は多いが流行するものが無い
ドッグフーディングなし
評価者が少ない
論文が出れば後はどうでも良い?

発想フェーズと運用フェーズ
異なる才能が必要
発明家 兼 PM は少ない
増井俊之 は発明側
ドッグフーディングも好き
ある程度動くものを自分で作る
e.g. IMEを作るときはそのIMEしか使えない
ある程度作らないと何もできない
なので頑張って開発する

得意技の融合と継続
デザインエンジニアリング = デザイナ + エンジニア
発明 + プロトタイプ + ドッグフーディング + 実装 + 運用 + 営業
社内営業も結構やってる
⇨ DevOps

Notaのメンバー
得意分野はいろいろ
広いセンス
発明センス + 開発センス + 運用センス
慶應SFC出身者多い
CEO, エンジニア, デザイナ

増井俊之 プロダクト
自分で使う
できる限り認証無し
簡単に使える
簡単じゃないと使われない
e.g. デスクトップのGUI
簡単に作れる
富豪的実装

発明品いろいろ
Goldfish
POBox
Gyazo
Scrapbox
Helpfeel
EpisoPass
Serencast

発想から製品までの流れ
面白いものの発想
高速プロトタイピング
ドッグフーディング / フィードバック
真面目実装 / ドッグフーディング / 改良

真面目実装
プロトタイプは穴だらけ
速度
セキュリティ
ロバストネス
気合いの入った実装と管理が必要

ドッグフーディング
無いと困る状況で開発する
IMEとか

発想の流れ
問題発見 + 問題解決
問題発見できたら半分終わり

増井の場合
不満などから問題を発見
解決法を考える
プロトタイピング
ドッグフーディング
世の中で望まれているものは公開

明確な問題
検索
入力
情報散逸
コミュニケーション
認証
...

明確でない問題の発見
フィルターバブル
電子書籍の諸問題
炎上しにくいコミュニケーション
漠然とした検索
理想的情報共有
...

発想法
情報収集
バックグラウンドで考え続ける
突然ひらめく

解決するには時間がかかる
しかし割と解けるものである
いろんな逸話がある
e.g. クギ13本

発見の逸話
ポアンカレ
ケクレ
フランケンシュタイン
ハリーポッター
イエスタデイ

クギ13本問題
長めのクギを13本用意
1本を机に打ち込む
残りの12本をその上に乗せる

制約発想
わざと制約を作る
キーが少ないのに文字入力したい
小さい画面で沢山の情報を見たい
etc.

長屋コンピューティング
我慢して住めるか?

これならどうか?
Wifi完備
障子がスクリーン
神棚にサーバ
あちこちのセンサでKB入力
自動冷暖房
電子書籍
コンビニで冷蔵庫不要
良いレストランがいくらでも
近所にスーパー銭湯

そもそも発想
そもそもの要望を解決するべき
現状の機器などの制約を忘れる
細かい問題に集中しないようにする
切符 => Suica
CD => ストリーミング

ドッグフーディング発想
ひたすら使っているうちに問題に気づく
音楽を聞いてはいけない
右脳が消費されるから

芋蔓発想
情報の結びつきが大事
普通は脳の中でやる
これをアウトソーシングしたい
/imoduru

日常の中に問題は気づきにくい
電車に乗るには?
電子書籍?
病院が来い?

当事者になる
ドッグフーディング
泥酔指向

研究開発動向調査
学会では流行した
スワイプ入力
キーボードをなぞって入力

実例紹介

Helpfeel
Generator + Filter は15年以上前から考えていた
10年前ぐらいに実装手法を思いついた
3年前ぐらいにプロダクト展開

POBox
曖昧検索アルゴリズムからの発想
売り込みにあちこち回った
Palm版を浸透させた
ソニー社内でようやく成功した

Gyazo
画像認証からのバイプロダクト

Scrapbox
Wikiを長年試行錯誤した結果
Wiki掲示板
勉強Wiki

Goldfish
プロダクト化に成功していない

自分たちの組織にとってのプロダクトマネジメントとは
面白プロダクトのための全工程
全員PMで

あなたにとってのプロダクトマネジメントとは
発想 + プロトタイピング + ドッグフーディング

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